事前準備
Docker による iAP 開発環境のセットアップに入る前に、構築する環境を選び、PC のスペックを確認したうえで、必要なソフトウェアと資材を準備します。
構築する環境の選択
Docker による iAP 開発環境をセットアップするにあたり、開発環境の iAP バージョンと利用するデータベースおよび構成を決定します。
リポジトリの選択(構成)
本書では、用途に合わせて以下の 2 種類の構成を選択できます。
| リポジトリ | 構成 | 概要 | URL |
|---|---|---|---|
docker-stacks | スタンドアロン構成 | Resin 1 サービスでの標準的な構成。 | https://github.com/accelplatform/docker-stacks |
docker-stacks-cluster | クラスタ構成 | Resin 2 サービス + Apache HTTPd でのロードバランシング構成。 | https://github.com/accelplatform/docker-stacks-cluster |
スタンドアロン構成
クラスタ構成
構成の特徴と用途
| 観点 | スタンドアロン構成 | クラスタ構成 |
|---|---|---|
| Resin の数 | 1 | 2 |
| 用途 | 単体での動作確認、機能開発、検証 | 複数ノード構成での動作確認、セッション同期や分散時の挙動確認 |
| 推奨される利用シーン | 機能単位のテストや動作確認 | クラスタ前提の検証、複数 Resin 構成での挙動確認 |
特にクラスタ環境での挙動確認を必要としない場合は、スタンドアロン構成で問題ありません。
各構成のセットアップは、共通手順を 共通セットアップ手順 にまとめ、構成固有の構成図・サービス一覧・URL / ポート番号を スタンドアロン構成 / クラスタ構成 にまとめています。
ブランチの選択(iAP バージョン × DB)
各リポジトリでは、iAP バージョンとデータベース(DB)の組み合わせを ブランチ で提供しています。
ブランチ名は以下の命名規則に従います。
{iAP バージョン}-{DB}
ブランチ名の例:
2026autumn-postgres2026autumn-oracle2026autumn-sqlserver
提供中のブランチ一覧は、各リポジトリの GitHub 上で、ブランチ選択メニューまたは「Branches」ページから確認できます。
Oracle / SQL Server のブランチを選択する場合は、データベース固有の追加対応や制限事項が存在する可能性があるため、選択したブランチの README.md を必ず参照してください。
推奨スペック
Windows(Docker Desktop + WSL2)で iAP 開発環境を動かす場合の推奨スペックです。 CPU とメモリは、WSL2 に割り当てる量を示しています。
記載の値は、各サービスの設定値から見積もった参考値です。動作や性能を保証するものではありません。
構成別の推奨値
| 項目 | スタンドアロン構成(最低) | スタンドアロン構成(推奨) | クラスタ構成(最低) | クラスタ構成(推奨) |
|---|---|---|---|---|
| CPU(WSL2 への割り当て) | 4 コア | 8 コア | 6 コア | 8 コア以上 |
| メモリ(WSL2 への割り当て) | 8GB | 12〜16GB | 14GB | 16〜20GB |
| ディスクの空き容量 | 30GB | 50GB 以上(SSD) | 30GB | 50GB 以上(SSD) |
| ホスト PC の搭載メモリ | 16GB | 32GB | 32GB | 32GB 以上 |
サービス別のメモリ使用量(目安)
| サービス | スタンドアロン構成 | クラスタ構成 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| Resin | 約 5GB | 約 10GB(5GB × 2) | resin.properties で -Xms4096m -Xmx4096m に固定したヒープと、JVM のヒープ外領域 |
| Cassandra 1.1.12 | 1〜3GB | 1〜4GB | ヒープの指定なし。VM のメモリの約 1/4 を自動で確保(最大 8GB) |
| Solr 9.6 | 0.5〜1GB | 0.5〜1GB | 既定のヒープ 512MB |
| PostgreSQL / Apache HTTPd / mailpit | 約 0.5GB | 約 0.5GB | |
| テスト実行エージェント(任意) | +1〜2GB | +1〜2GB | Playwright / Chromium |
juggling-build-war(ビルド時のみ) | +1〜2GB | +1〜2GB | war のビルド |
| 合計(常駐分) | 約 8〜10GB | 約 13〜16GB |
必要なソフトウェアの導入
iAP 開発環境のセットアップに入る前に、PC に以下のソフトウェアをインストールしてください。いずれも公式サイトのインストール手順に従います。
| ソフトウェア | 役割 | 公式インストール手順 |
|---|---|---|
| Docker Desktop | 本書の iAP 開発環境(コンテナ群)のビルド・起動に使用します。 | Docker Desktop for Windows Docker Desktop for Mac Docker Desktop for Linux |
| Git | 本書のリポジトリの取得に使用します。 | git - Install |
| Git LFS | リポジトリ内の大容量ファイル(lib/ 配下等)の取得に使用します。 | git-lfs - Installation |
Windows 環境では、本節のソフトウェア導入に先立って WSL2(Windows Subsystem for Linux 2) をセットアップしてください。Git / Git LFS は WSL2 上の Linux ディストリビューション(Ubuntu)にインストールし、Docker Desktop は WSL2 バックエンドで動作させます。
WSL2 のセットアップ
本節は Windows 環境で本書の手順を進める方を対象とします。macOS / Linux 環境の場合は本節を読み飛ばして Docker Desktop のセットアップ に進んでください。
Windows 環境では、WSL2(Windows Subsystem for Linux 2) 上のデフォルト Linux ディストリビューション(Ubuntu)のターミナルを利用することを前提とします。本書では特に指定がない限り、コマンド操作はすべて WSL2 ターミナル内(bash)で実行することを想定します。
- WSL2 ターミナルを開く: スタートメニュー → Ubuntu を選択して起動します。Windows Terminal を導入している場合は、プロファイルから「Ubuntu」を選択して開くこともできます。
- PowerShell を開く(補助的な用途): スタートメニュー → 「PowerShell」と入力 → 「Windows PowerShell」を選択。Docker Desktop のインストール時の確認等、Windows 側で行う操作で利用します。
Windows 環境では、Docker Desktop を WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)バックエンド で動作させ、リポジトリの配置やコマンド実行も WSL2 上の Linux ファイルシステム内で行うことを推奨します。Windows 側のディレクトリ(/mnt/c 配下、すなわち C:\ ドライブ等)で作業するとファイル I/O が大幅に遅くなり、docker compose build や war ビルド、コンテナ起動に時間がかかるためです。
WSL2 をまだ導入していない場合は、公式サイト https://learn.microsoft.com/windows/wsl/install の手順に従ってセットアップしてください。
本書では Linux ディストリビューションとして Ubuntu を使用することを前提とします。インストール後、スタートメニューから「Ubuntu」を起動できることを確認してください。
Docker Desktop のセットアップ
前述の公式サイトのインストール手順に従い、セットアップを実施します。
インストール後、ターミナル(Windows 環境の場合は PowerShell)で以下のコマンドを実行し、バージョン情報が表示されることを確認してください。
確認コマンド(エンジンが応答しているか):
docker --version
期待される出力(例):
Docker version 29.4.3, build ...
確認コマンド(Compose 機能が有効か):
docker compose version
期待される出力(例):
Docker Compose version v5.1.3
Docker Desktop の WSL2 連携
Windows 環境では、続いて WSL2 との連携設定を行います。macOS / Linux 環境の場合は続いて Git / Git LFS のセットアップ に進んでください。
Docker Desktop UI で以下を確認し、有効になっていない場合は有効にしてください。
- Settings → General → Use the WSL 2 based engine が有効化されていること。
- Settings → Resources → WSL Integration で、Ubuntu に対する連携が有効化されていること。
この設定により、WSL2 ターミナル内で docker / docker compose コマンドが利用可能になります。WSL2 ターミナル内でバージョン確認コマンドを実行し、同じようにバージョン情報が表示されることを確認してください。
docker --version
docker compose version
Git / Git LFS のセットアップ
前述の公式サイトのインストール手順に従い、セットアップを実施します。
Windows 環境では、WSL2 上の Linux ディストリビューション(Ubuntu)にインストールしてください。
インストール後、ターミナルで以下のコマンドを実行し、バージョン情報が表示されることを確認してください。
Git
確認コマンド:
git --version
期待される出力(例):
git version 2.54.0
Git LFS
確認コマンド:
git lfs version
期待される出力(例):
git-lfs/3.7.1 (GitHub; ...)
プロキシ環境では、Git・Docker Desktop にプロキシ設定が必要になる場合があります。git clone / docker compose build / docker compose up のいずれかで失敗する場合はプロキシ設定をご確認ください。
- Git: コマンドでプロキシを設定します。
git config --global http.proxy http://proxy:portgit config --global https.proxy http://proxy:port
- Docker Desktop: 環境に合わせて以下を設定します。
- Docker Desktop UI の
Settings > Resources > Proxies
- Docker Desktop UI の
必要な資材とライセンス
本ガイドの手順を実行するには、以下を準備する必要があります。
- カスタマーサクセスライセンス、またはパッケージライセンスを保有していること。
- 以下の資材を ライセンスポータル、または Product File Download サイト からダウンロードできること。
- Resin Pro(
resin-pro-4.x.x.tar.gz) - Accel Studio テスト機能 テスト実行エージェント(
accel_studio_testing_agent-8.x.x.zip) - Apache Cassandra(
apache-cassandra-1.1.12-bin.tar.gz) - Solr インストーラ(
solr.zip)
- Resin Pro(
- 参考: intra-mart Accel Platform ライセンスポータル操作ガイド - リソースをダウンロードする
各資材の具体的なファイル名(バージョン込み)とダウンロード後の配置先は、共通セットアップ手順 で説明します。